ごめんなさいワタシは、誰かに何か理不尽なことを言われると無口になる。 あなたの時もそうだった。 「お前が悪いんだろう」 ・・・・・・そうかもしれないけど、そんなこといわなくてもいいやん。 いつもそう思う。 毎回、繰り返されるけんか。 絶え間ないあなたの声。 「悪いこと知ってるのに、なんでするんだ」 「・・・・・・・」 答えられなかった。 あたっていた。 でも、「ごめんなさい」がいえなかった。 ずっと無口。 「もういいよ。もうこれっきりだな」 そう言ってあなたは部屋を出て行った。 一人きり、何もない部屋に。 たったひとり・・・・。 怖い・・・・あなたの声が聞こえない。 沈黙が波になって ワタシの、頭に ワタシの、肩に、 ワタシの、ココロに 重たくのしかかる。 怖い・・・自分がいなくなってしまいそうな恐怖感。 窓をあける、新鮮な風・・・それでも息苦しさはとれない。 怖い・・・誰か助けて。 何度も深呼吸する。 でも、それでも、息苦しい。 「はぁ・・はぁ・・・ぜぇっ・・・ぜぇっ」 声にならない声・・・。 もう誰も助けてくれない気がする。 かぎをかけたはずの、ドアが開いて。 心配そうなあなたの顔が見えた。 手際よく紙袋を用意してくれる。 いつもの方法。 「だいじょうぶ、だいじょうぶ」 何度も、そういって背中をさすってくれる。 ・・・・あぁ・・・生きてる・・・。 息を吸い込むたびに思い出す。 あなたの手のぬくもりや、優しさを。 「もうだいじょうぶ?話せる?」 ・・・・・あなたを失ってはいけない。 誰かがおしえてくれた。 「自分から謝るのも大事だよ」 ・・紙袋を、口からゆっくり離す。 「ん?もう大丈夫か?よかったなぁ~。」 さっきまでのことなんて知らない顔。 「ごめんなさい。もうしません」 子供みたいに謝るワタシにあなたは。 その大きな優しい腕で抱きしめてくれた。 「うん、ぼくもごめんね」って・・・。 ジャンル別一覧
人気のクチコミテーマ
|